地方の病院だからは言い訳にできない
病院再編を急ぐ理由に「働き方改革で大学が人を出さない」という理由を市は主張しています。地方の病院だからは魅力がなく、医師不足だから仕方がない。だから合併。
本当にそうでしょうか?
実は全国には、人口が少ない地域でありながら、全国から若手医師が集まり続ける病院があります。
その代表例が、千葉県房総半島の先端鴨川市の亀田総合病院と沖縄県の本島中央うるま市にある沖縄県立中部病院です。
鴨川市の人口はわずか3万人余り。それにもかかわらず、亀田総合病院には全国から研修医や専攻医が集まります。
沖縄県立中部病院もまた、日本を代表する臨床研修病院として知られ、多くの若手医師がその門を叩いています。
両病院に共通するものは何でしょうか。
それは、
✅ 充実した教育体制 ✅ 豊富な症例経験 ✅ 診療科の垣根の低さ ✅ 「断らない救急」の精神
です。
私の恩師は、亀田総合病院の救急医療体制の立ち上げに携わった医師でした。
その先生の口癖は、
「とにかく受けなさい」
でした。
私が勤めていた帝京大学病院救命救急センターには「受けません」という言葉はありませんでした。「ICUは満床ですがとりあえず連れて来てください」と赤電話(東京消防庁とのホットライン)で答えていたことを思い出します。そのため、廊下までストレッチャーが並ぶことも珍しくなく、それでも目の前の患者を断らない、それが当たり前でした。
もちろん、断らない救急は簡単ではありません。医師だけでなく、看護師やコメディカルを含めた組織全体の覚悟と教育体制が必要です。
しかし、地域医療を守るために本当に必要なのは、「人がいないからできない」と考えることではなく、「若手医師や看護師、コメディカルが集まりたくなるような病院をどう作るか」を考えることではないでしょうか。
これからの地域医療は、地域から選ばれる病院だけでなく、若手医師から選ばれる病院づくりが鍵になるのではないでしょうか?
どうして行動するのか?
去る5月26日、病院の統合・再編問題を先送りする方針が報じられました。
しかし私は、湖北の課題は単なる病院の赤字や統合問題ではないと考えています。
本質は、高齢化が進む地域を支える「医療・介護・生活支援の供給網」そのものが細っていることです。
現在の湖北では、
・病院
・介護施設
・在宅医療
・訪問看護・訪問介護
・独居高齢者や老々世帯への生活支援・移動支援
が十分につながらないまま、それぞれが限界に近づいています。
一方で、行政は財政負担を理由に病院経営から距離を置き、湖北病院の建て替えも先送りされています。しかし、このままでは病院機能そのものが維持できなくなる危険があります。
さらに、退院後の受け皿となる介護施設や在宅医療・在宅介護も十分ではありません。
滋賀県の推計では、介護人材は2026年度に約1,900人不足し、2040年度には約10,500人不足すると見込まれています。人口減少と若年層流出が進む湖北では、さらに厳しい状況になることが予想されます。
十分な受け皿を整えないまま病院再編だけを進めれば、
救急
↓
急性期医療
↓
回復期・療養病床不足・医療度の高い高齢者を受け入れる介護施設の収容能力の不足(特に冬季)
↓
在宅療養の増加
↓
訪問看護・訪問介護不足
↓
救急搬送・再入院の増加
↓
病院機能のさらなる逼迫
という悪循環に陥ります。
だからこそ必要なのは、湖北全体で
「救急 → 急性期 → 回復期 → 介護 → 在宅 → 生活支援 → 看取り」
までを一つの地域医療・介護導線として設計することです。
そして、その担い手を確保するためにも、若い世代が湖北に残り、戻って来られる魅力的で稼げる地域づくりも欠かせません。
そして彼ら働く世代にとっても、
・救急医療体制の充実
・健診による疾病の早期発見・早期治療
・診療所と病院の連携強化
・小児医療の充実
を進める必要があります。
残念ながら現在、その全体像を描き、実行する体制は十分とは言えません。病院統合の議論を先送りするだけでは、湖北の未来は守れません。
私は、医療だけを守りたいのではありません。地域で暮らし、生き、支え合う力そのものを守りたい。
誰もが安心して湖北で生き続けられる未来をつくるため、この課題に真正面から取り組み、行動を起こしていきます。